私の地元仙台では地方都市ということもあってか、現代では方言を耳にすることが少なくなりました。
しかし、方言にはその地方の雰囲気や温かみが感じられて私は好きです。
私の妻は青森県の津軽地方出身です。
一緒に青森の実家へ帰省すると、津軽弁で一家団欒が始まります。私は会話の内容を完全に理解することはできません。しかし声のトーンや雰囲気でなんとなく会話の内容が理解できます。
今楽しい話をしているな、とか真剣な話をしているな、という感じにです。その時の感覚はなんとも言えぬ心地良さがあります。
しかし、仕事となると事情が変わります。
私が勤める地域は農村地帯ということもあり過半数が高齢者です。
患者さんが今日の出来事や症状について熱心に話してくれるのに、その詳細が理解できないために私は十分な服薬指導ができずにいました。
相槌を打ってやり過ごせるプライベートとは異なり、いかに相手の情報を引き出せるかがカギとなる服薬指導。つまり、会話の成立が不可欠ということです。
そのような感覚で今の地域に来てしまったのです。コミュニケーションが上手くとれず、服薬指導が毎度苦戦してました。
患者さんが熱心に今日の出来事や症状を話してくれるです。私も曲がりなりにも主訴を聞き取りたいのです。
必要に迫られて私が編み出したのが、相手の口調や雰囲気を真似してみることです。
題して「なんちゃって方言作戦」です。
相手の口調やイントネーションを真似ることで、自分自身もこの地域の住人なのだと自己暗示をかけることができると踏んだのです。
これが予想外の効果でした。
以前よりもコミュニケーションがとれるようになり、服薬指導を円滑に行えるようになりました。
患者さんとの会話の量も増え、充実した服薬指導を行えてます。
対人業務が叫ばれている薬剤師業務ですが、方言はコミュニケーションの第一歩であると肌身に感じる教訓となりました。
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